INTERRAの様々なセンサーをETS6で動作確認してみた

目次

前回の内容

こちらの記事は前回書いた記事の内容の続きのような内容となっています。

ITR-415-0004 モーションセンサー

正面です。これだと分かりづらいですけど、ITR-415-0011と比較すると目玉の部分が出っ張っています。

真横から見るとこんな感じです。フラットではなく出っ張っていますね。

裏面です。

その他の内容は全部ITR-415と全部同じでした。ETS6で選択する項目もプロパティも全部同じです。形状だけの違いでしょうか。設定方法が知りたい場合は、前回の記事を参考にどうぞ。

ITR-415-0111 モーションセンサー

正面です。フラットです。

裏面です。ボディカラーがブラックなだけで他全部同じでした。

ITR-404-1010 エアクオリティーマルチセンサー

表側です。小さい穴がたくさん空いてます。

裏側です。信号線のリストのシールが貼り忘れられてたみたいですけど、おそらくは他のセンサーと同じ配線の並びだと思います。

ETS6ではカタログから「ITR404」で検索すればデバイスを見つけることができました。

とりあえず、何か返り値が返ってくるか確認してみたいので「Value Output (Index)」を0/0/4のグループアドレスでリンクさせてみました。

診断ツールでの動作確認

診断ツールではログ上には値が表示されませんでしたが、その上辺りにある「最新の受信バリュー」という場所に[18.41ppm]という数値が確認できました。

少し放置していたらまた数値が変動して[38.96 ppm]になっていました。

ppmが何の単位なのかChatGPTで調べてみました。

🧪 ppmとは?

ppm(parts per million) は、「100万分のいくつか」という濃度の単位です。

  • 38.96 ppm = 1,000,000分の38.96
  • 通常、**CO₂(二酸化炭素)TVOC(総揮発性有機化合物)**の濃度を示すのに使われます。

📦 可能性の高いセンサー項目(ITR404の仕様より)

ITR404 は複数の空気質関連の値を出力します。以下が代表的なppm系出力:

測定対象単位一般的な範囲説明
CO₂ppm400 ~ 2000 ppm室内空気の二酸化炭素濃度(換気の目安)
TVOCppm or ppb数十~数百 ppm/ppb揮発性有機化合物(ホルムアルデヒドなど)
HCHOppm0~1 ppm 程度ホルムアルデヒド濃度

パラメーターで確認できる項目 General

🟦 In Operation

1. In operation object

  • Enable or Disable を選択
  • Enableにすると「このセンサーが動作中かどうか」を外部から制御できるグループオブジェクトが有効になります。
    • 例えば、夜間だけセンサーを有効にする/無効にする用途に使えます。
  • Disable(デフォルト)は、常時動作状態になります。

2. Wait for accuracy of sensors results

  • センサーの測定精度が安定するまで待機するかどうかを設定します。
  • 選択肢の例:
    • No Wait:即座に値を出力(ただし精度はやや不安定な可能性)
    • Short Wait, Medium Wait, Long Wait など:安定した測定のために時間を置く

💡 初期起動や電源復帰直後はセンサーがキャリブレーションを行うため、精度を重視するなら「Wait」ありの設定が推奨です。


3. Delay time after voltage return

  • 電源が復帰した後、デバイスが動作開始するまでの遅延時間(ここでは「20秒」)
  • 書式は mm:ss(分:秒)

🧪 Sensor Activation

以下のセンサーの使用可否をチェックボックスで個別に有効化します:

センサー名説明
Humidity Sensor湿度(%RH)を測定し、KNX出力可能に
VOC Sensor揮発性有機化合物(TVOC)濃度をppmまたはppbで出力
CO₂ Sensor二酸化炭素(CO₂)濃度をppmで出力
Temperature Sensor温度(°C)を出力
Pressure Sensor気圧(hPa)を出力(※オプション機能/モデルによる)

※ チェックを入れた項目に対応するグループオブジェクトがETS上で有効になります。


✅ おすすめ設定例(標準運用)

項目設定値例
In operation objectDisable(常時稼働)
Wait for accuracyShort Wait または Medium Wait
Delay time00:20(デフォルトで問題なし)
Sensor Activation必要な項目のみチェック(例:Humidity, CO₂, Temperature)

Indoor Air Quality

IAQ Index(Indoor Air Quality Index)テーブルの意味

これは「室内空気質インデックス(IAQ)」の評価基準です。多くの場合、VOCセンサー(TVOC)やCO₂濃度などから導出された総合指標で、快適性や健康への影響を示します。

IAQ IndexAir QualityImpact(長期暴露)
0–50Excellent純粋な空気、最も健康によい状態
51–100Good健康や快適性に影響なし
101–150Lightly polluted快適性が少し低下する可能性あり
151–200Moderately polluted刺激を感じることがある
201–250Heavily polluted頭痛など健康影響が出る可能性(VOCの種類による)
251–350Severely pollutedVOCが有害な場合、深刻な健康リスク
>351Extremely polluted神経毒性リスク、頭痛やその他の深刻な影響

👉 これは、アラーム設定やインジケーター制御、ロジック制御のしきい値の参考に使われます。

⚙️ ETSパラメータ設定(IAQ制御関連)の説明

🔧 Calibrate sensor(センサーのキャリブレーション)

  • with parameter:ETS内の設定値を使って自動補正
  • with object:KNXオブジェクト経由で補正値を受け取る(ダイナミック補正)

🔁 Value Offset

  • 測定値にオフセット(補正)を加算
  • 例:センサーが常に10高く出る → オフセットに -10 を設定

📨 Send status(状態通知の条件)

  • いつIAQステータスを送信するか指定
    • When changing:値が変化したとき
    • その他:周期、しきい値超え など

📶 Status sending(送信条件詳細)

  • on specified value change:指定値以上の変化があったときに送信
  • Send status when changed value over than:この変化幅(例:10)を超えたら送信

📊 Index Level(インデックスしきい値処理)

Level threshold hysteresis

  • 状態変化のヒステリシス(安定化バッファ)
  • 例:変化に敏感すぎる反応を防ぐため、10の幅を持たせる

Specific Level Thresholds

  • チェックを入れると、IAQレベルごとに個別の出力オブジェクトや動作ロジックを設定できるようになります

🚨 Alarm function

  • IAQが特定値を超えたときに1bitのアラーム出力を送信
  • 例:IAQ > 200 でアラーム ON → 換気や通知に利用

✅ 実運用での例(一部)

用途設定例
換気扇制御Alarm function:Enable、しきい値:IAQ > 150
BMS通知Send status:When changing + on specified value change
タッチパネル表示Actual IAQ 値(2byte)を定期送信 or 状態表示オブジェクトを使用

Inputs > Input 1

Input 1 の設定項目:Operation mode of the channel

ここでは、センサーに接続された物理的な**外部入力端子(例:無電圧接点やボタンスイッチ)**を、どのような機能として使うかを定義します。


🔽 選択肢一覧とその意味

設定項目説明・用途例
no function入力を使用しない(デフォルト)
switch sensor単純なON/OFFスイッチとして使用(照明制御など)
switch / dimming sensor短押し:ON/OFF、長押し:調光(DALI照明との併用など)
shutter sensorブラインド/シャッターの開閉制御(上下ボタン)
value / forced operationKNXオブジェクトに定数(例:1 or 0)を出力する。強制操作として在室ONなどに使う
control sceneシーン番号を送出(例:Scene 1 = 全灯、Scene 2 = 雰囲気照明)
RGB colour controlRGB照明の色選択・変更トリガー
mode selection複数のモード切替(例:「通常」⇔「省エネ」)など
command sequence一連の命令を順に送る(例:段階的に照明をON)
counterパルスカウント(例:人の出入り数をカウント)
RGBW controlRGB + ホワイトチャンネル照明の制御(より細かい色制御)

✅ 使用例に応じたおすすめ設定

使用用途設定候補
壁スイッチと連動して換気をON/OFFしたいswitch sensor
タッチスイッチでシーン切替control scene
外部信号でCO₂アラームを強制ONにするvalue / forced operation
ブラインド制御スイッチ接続shutter sensor
換気モードを通常/省エネで切替mode selection

💡 補足

  • Input 1~3 ともに同じ設定が可能で、それぞれ別の役割で使用できます。
  • 設定を行うと、ETS上で該当グループオブジェクトが有効化されるので、アドレスの割り当ても必要になります。

Logic Functions > Logic 1

Use logic function(ロジック機能の使用)

✅ 機能概要:

この設定では、ロジック演算(AND、OR、NOTなど) をセンサー内部で実行させるかどうかを決めます。

  • yes にすると、Logic 1 チャンネルが有効になり、追加の詳細設定項目(入力条件、論理式、出力制御)が表示されます。
  • no のままではロジック機能は使用されず、このチャンネルは無効のままです。

🧠 Logic Function の活用例

Logic機能は以下のような用途に使えます:

目的条件例(論理)
換気ファン制御(CO₂ > 800 ppm) AND (在室中)
アラーム発報(IAQ > 200) OR (VOC > 150)
モード切替(入力1 = ON) AND (時間帯 = 夜間)

※ これらはETS上のロジック設定ブロックで組むことができます。


✅ 使用時の流れ

  1. Use logic functionyes に設定
  2. 入力A/Bや定数、演算タイプ(AND/OR/NOTなど)を定義
  3. 出力オブジェクトを指定して、他デバイスへ信号を送信

✴ 使いどころ

このロジック機能は、小規模システムやゲートウェイを使わずに完結した制御を実現したい場合にとても便利です。外部ロジックユニットを使わずに「空気が悪くなった+人がいる」時だけ動かす、というようなスマートな制御が可能になります。

Converter > Converter 1

Converter status

  • disable:このコンバーターチャンネルは無効(デフォルト)
  • enable:Converter 1 チャンネルを有効化し、設定メニューが追加で表示されるようになる

🧠 使用シーンの一例

使用目的変換内容の例
空気質を5段階レベルに変換IAQ数値 → 1〜5の整数値出力
温度範囲を0〜100%スケールに換算15℃〜30℃ → 0〜255 (1-byte)
CO₂ > 800ppm → アラーム信号数値 → 1-bit論理出力

✳ 備考

  • Converter 1 ~ 2 まで2チャンネルあり、異なる変換を並行で設定可能
  • 使うには enable にチェックを入れた後に、変換元/変換先のタイプ、スケーリング方法などを設定する詳細パネルが出てきます
  • ロジック機能とは異なり、”数値の操作や変換に特化したツール”

✅ 結論

この画面は「Converter 1 チャンネルを使うかどうかのスイッチ」であり、
enable にすることで KNXネットワーク上でのデータ活用範囲を広げることができます。

ITR-401-0002 水漏れ検知センサー(水浸センサー)

表側です。蓋の中央でネジ止めされていました。(ネジは既に外してあります)

裏面です。シリアルナンバーが少し見えます。

底面です。引っ張ったら外すことができました。少し長いケーブルが収納されていたので、少し伸ばして水面が到達しそうな場所までこの線を伸ばす運用でしょうか。

フタを開けた中身です。KNXケーブルはココに接続します。フタを閉じていたときにも見えていたLEDがありますね。底面に繋がるセンサー部分の線もそれなりに長い気がします。

ITR-401-0002のスペック

✅ 製品名:

INTERRA ITR-401-0002 Water Flood Detector

✅ 製品カテゴリ:

KNX 水漏れセンサー(水浸センサー)

✅ 主な用途:

  • 洗濯機、給湯器、キッチン、サーバールームなどでの漏水の早期検知
  • KNXシステムと連携して、アラーム発報・電磁弁制御・通知などの自動対応

🔧 主な機能と特徴

項目内容
検出方式接触式電極による導電性のある水の検出(一般的な水道水など)
出力KNXグループオブジェクトに1-bit(漏水あり/なし)を送信
電源KNXバス給電(外部電源不要)
設置場所床面や排水口周辺、機器下部など、水が溜まりやすい位置
反応時間水がセンサーに接触してから数秒以内に反応
取り付け床置き型または両面テープなどで固定可能

📡 KNX連携例

  • 漏水検知時に:
    • KNXタッチパネルにアラーム表示
    • 音声ブザーや警報灯をON
    • 電磁弁を閉じて水を止める
    • スマートフォンアプリに通知(KNX-IP GW経由)

📦 製品仕様(代表値)

項目
通信方式KNX TP(ツイステッドペア)
電源KNXバス(21〜30V DC)
消費電流約5mA
保護等級IP20(屋内向け)
寸法約45×45×20mm(モデルにより異なる)

📝 注意点

  • 純水や蒸留水は導電性が低く、検知できない場合があるため、通常の水道水を前提とした設計です。
  • 感度が高すぎる場合は、誤検知防止のためのロジック設定やタイマーディレイを入れることが推奨されます。

✅ まとめ

ITR-401-0002 は、KNXスマートホーム/ビルオートメーション向けの信頼性の高い水漏れ検知センサーで、
漏水による被害を未然に防ぐための自動対応に最適です。

ETS6上で設定(パラメーター)

「ITR-401」でカタログから検索するとデバイスを見つけられました。従来通りドラッグ&ドロップでデバイスを追加します。

Water Flood Detector > General

1. Delay time after voltage recovery

  • 意味:電源(KNXバス電圧)が復帰したあと、センサーが動作を開始するまでの遅延時間(単位:秒)
  • ここでは 2秒 に設定
  • 用途:電源瞬断や再起動後に誤検知を防ぐための待機時間

2. Enable in operation

  • yes:センサーの「動作中」状態をKNXオブジェクトとして出力する
  • no:出力しない(通知不要)

2-1. In operation send

  • この項目は Enable in operation = yes にした場合に有効。
  • KNXに送信するビット値を選びます:
    • value '0':動作中 → 0 を送る
    • value '1':動作中 → 1 を送る(※通常はこちら)

💡「動作中」の意味は、「センサーが漏水検知機能としてアクティブな状態である」ということ。
例えば制御ロジックや表示に使えます。


2-2. In operation send interval

  • 「動作中」の状態通知を何分ごとに周期送信するかを設定(単位:分)
  • ここでは 5分 に設定
  • この周期で「センサーはまだ正常に動作しているよ」という信号を送り続ける

👉 通信監視やBMS(ビル管理システム)向けのウォッチドッグ的用途に便利です。


✅ まとめ:設定例としての意味

設定内容
電源復帰後 2秒待って動作開始起動安定待ち
動作中を KNX に通知1 を送る
5分ごとに「動作中ですよ」と定期送信通信途絶や異常を監視可能

Water Flood > Lock

一番上の項目が初期状態だと「no」が選択されていたので、その他の項目を表示させるために一旦「yes」にしてみました。

1. Use water flood lock

  • yesロック機能を有効化する(漏水検知後、手動で復旧が必要になる動作など)
  • no:ロック機能を使わない(通常動作)

2. Telegram for lock activation

  • ロックを有効にするためのトリガー値を指定
    • ON telegram:1 を受信したときにロックを有効化
    • OFF telegram:0 を受信したときにロックを有効化

👉 外部スイッチやロジックからロックONを制御したい場合に使用。


3. Automatic unlock after delay

  • yes:一定時間経過後に自動的にロック解除
  • no:解除は手動 or 条件を満たしたときのみ

4. Unlock if alarm stop

  • yes:漏水アラームが解除されたら自動でロック解除
  • no:アラームが解除されてもロックは維持される

👉 緊急制御後に自動復帰したい場合は yes にします。


5. Feedback of water flood lock status

  • yes:現在のロック状態(ON/OFF)をKNXオブジェクトとして通知
  • no:出力しない

👉 BMS画面やKNXパネルにロック状態表示したい場合に有効です。


6. After bus voltage recovery

  • KNXバス電圧が復旧した後のロック状態を設定
    • lock passive:ロック状態は解除状態で起動
    • lock active:起動時点でロック状態にする

✅ この設定の活用例

たとえば:

  • 漏水検知時にバルブを閉じ、ロックして自動復帰しないようにする
  • 現場確認後に手動で解除(安全設計)
  • ロック状態をKNXパネルに表示して運用管理する

💡 おすすめ設定(一般的な安全用途)

項目設定
Use lockyes
Lock triggerON telegram
Auto unlockno
Unlock if alarm stopno or yes(運用による)
Status feedbackyes(パネル表示用)
Bus復旧後lock active(安全側設計)

漏水検知テスト

0/0/5のグループアドレスを用意して「Water Flood – Water Alaerm」の部分にリンクして書き込んでみます。書き込み用のボタンは中身のLEDの近くにあります。

診断ツールでセンサー部分をウェットティッシュとかで濡らしてみて何か変化が起こるか確認していきます。上の画像では特にまだ何もキャッチできていない状況です。一応、指で振れてみたりしましたけど何も起きませんでした。

水が垂れるぐらいビショビショに濡らしたウェットティッシュで検証してみます。

2点のセンサー部分を水に浸けてみると…

「「「ピー!!!」」」 LEDが赤く点灯をして高い警報音を鳴らしました!

診断ツールの方にもバッチリログが残っていました。検証成功ですね。

まとめ

型番としてITR-XXXまでの内容がデバイスとしての種類になるみたいです。手元にあるセンサーはいまのところ以上となりますが、INTERRA社としては他にも種類がありそうな気がしました。

機能の掘り下げについてはまた別の機会でやってみたいと思います。