INTERRAのセンサーITR415-0011をETS6で動作確認してみた

社内にKNXで動作するINTERRAのセンサーがいくつかありましたので、こちらの動作確認をしていきます。DALI器具と連動させるとなお良さそうに思えたのですが、診断ツールで反応が見られれば今回は良しとしてみます。

ITR-415-0011 モーションセンサー

センサーの表側です。書き込んだ設定によりますが、モーションセンサーが反応すると中の青いLEDが点灯して反応したことが視覚的に分かります。

センサーの裏側。KNXケーブルで接続されています。固定用のバネが2箇所あり、D1, DO, AO, GNDといった接続箇所が確認できます。ChatGPTの回答と合わせて各項目について色々と確認していきます。

端子 機能 接続対象の例
D1 / DO デジタル出力(Digital Output) スイッチング信号やイベント出力(例:モーション検知時)を別デバイスに通知
A0 アナログ出力(Analog Output) センサーの値をアナログ電圧(例:照度や温度)で出力する場合に使用
GND グランド(共通接地) 他の機器との共通グランドを取る

ETS6での設定

カタログから「ITR415」と検索をかけるとデバイスが出てきました。これをデバイスのところにドラッグ&ドロップして使用するデバイスとして追加していきます。

適当に個別アドレスを「1.1.10」としてみて追加してみました。パラメーターにいくつか項目があるので、それが何を示しているものなのか調べていきます。

Generalでの設定項目

💡 設定項目の説明(上から順)

1. Device type

  • ITR415 – 0XX1/0XX2/0XX4

  • デバイスの型番を指定するプルダウン。

  • お使いのデバイスに合わせて選択する必要があります。

2. Device type with thermostat

  • ITR415 – 0X0X no thermostat:サーモスタット機能なし(通常のPIR動作のみ)

  • ITR415 – 0X1X with thermostat:サーモスタット付きモデル(温度制御可能)

👉 目的:温度制御機能の有無に応じて正しいファームウェア挙動を選ぶため。

3. Delay time after voltage return

  • 通電(電源復帰)後にデバイスが動作を開始するまでの遅延時間(秒)。

  • ここでは「2秒」に設定。

👉 停電やリセット後の誤動作防止に使います。

4. Enable in operation

  • yes:デバイスを動作状態にする

  • no:動作無効(セットアップ中や一時停止時に使用)

👉 デバイスのON/OFFを論理的に制御するフラグ。

5. Use object for LED

  • yes:LED点灯制御にグループオブジェクトを使用

  • no:内部制御のまま(デフォルト)

👉 通常、”yes”にするとKNX経由でLEDのON/OFFを制御可能になります。

6. LED indicator for presence event

  • always off:常に消灯(暗い部屋でも目立たない)

  • on when movement detect:動作検知時にLEDが点灯

👉 センサーの存在を示すLEDインジケータ設定。デバッグや動作確認に便利。

7. Enable virtual card holder

  • yes:バーチャルカードホルダー(疑似在室検出)を有効

  • no:無効

👉 ホテルやオフィスのように「カードキー」で在室状態を制御する仕組みをソフトウェア的に再現。

8. Enable movement sensor objects

  • yes:人感センサー用のKNXグループオブジェクトを有効化

  • no:無効化

👉 この項目を有効にすることで、ETS上で「モーション検出オブジェクト(例えば 1/1/1 に1を送信)」が使えるようになります。

✅ まとめ

設定項目 説明 推奨設定例(一般用途)
Device type デバイスのモデル指定 使用モデルに合わせる
Thermostat付きか 温度制御機能の有無 無ければ「no thermostat」
電圧復帰遅延 起動時の待機時間 2〜5秒程度が一般的
動作有効化 有効にするか yes
LEDオブジェクト使用 KNXからLED制御するか デバッグ用途なら yes
LEDの挙動 動作検出時に点灯など on when movement detect
バーチャルカード 在室制御模擬機能 要件による(ホテルなら yes)
モーションオブジェクト KNXに検出を送るか yes(基本有効推奨)

Brightnessでの設定項目

☀ Brightness(照度)設定項目の解説

 

1. Brightness source

  • 意味:照度の測定に使うセンサーソースの選択。

  • 選択肢例

    • internal probe:内蔵センサー(通常はこちらを使用)

    • 外部センサーを持つ機種では別ソースも選べる場合あり。

2. Average brightness algorithm

  • 意味:照度データの平均化方法(変動への感度)を指定。

  • 選択肢例

    • very fast:非常に早い(即応性重視、ノイズにも敏感)

    • fastnormalslowなどが機種により選べる

👉 **「very fast」**は、人が通った際の影の影響などを即反映する設定で、自動照明制御などに適しています。

3. Enable “Measured value” object

  • 意味:照度の実測値をKNXグループオブジェクトとして送信するかどうか。

  • yesを選ぶと、ETS上でこのセンサーの照度(lux)値をKNXで読み取ることが可能になります。

  • noは無効(バイナリ制御だけ使う場合など)

👉 計測値をビジュアライズしたり、ロジックに活用したい場合は yes にします。

4. Calibration type

  • 意味:照度のキャリブレーション(補正)の方式。

  • 選択肢:

    • via object:KNXオブジェクト経由で補正値を外部から送る(動的調整向け)

    • with adjustment value:静的な補正値を設定(下項目で指定)

👉 通常のシンプルな運用なら「with adjustment value」で良いです。

5. Brightness compensation value

  • 意味:照度センサーの読み取りに加える補正値(単位:lux)。

  • 例:室内が実際より明るく感じる位置にセンサーがある → -50などで補正。

  • 範囲:通常 ±200〜±500 lux 程度が設定可能

👉 「センサーの設置場所と実際の明るさに差がある場合」に補正を入れます。

✅ 推奨設定例(自動照明制御用途)

項目名 設定例 理由
Brightness source internal probe 標準センサー使用
Algorithm very fast 照度変化を即座に反映
Measured value object yes 他機器へ照度送信可
Calibration type with adjustment value 手動補正で安定運用
Compensation 例: -20 実環境に合わせて微調整

Sensor (Movement)

■Operation

🔧 ライト制御・動作モード 設定項目の解説

1. Operation type

  • master mode:自律的に動作(センサーが直接出力やロジックを制御)

  • slave mode:他のセンサーのトリガーやロジックで動作(通常は出力しない)

👉 master modeが基本。複数のセンサーで連動制御する場合は、一部をslaveとして使います。

2. Used movement detection

  • internal only:内蔵PIRセンサーのみを使用

  • internal and external:外部の動作検出センサー(KNXオブジェクト経由)も併用

👉 他のKNXデバイスからの動作信号も含めたい場合は “internal and external” に設定します。

3. Detection independent of brightness

  • yes:照度条件に関係なく動作検出を有効にする

  • no:設定した照度閾値以下でのみ動作検出を有効にする

👉 自動照明制御で「暗いときのみ照明ONにしたい」場合は “no” に、
常に動作を検知したい場合は “yes” を選びます。

4. Light on time

  • 検知時にライトをONにする時間(ここでは「10秒」)。

  • フォーマットは hh:mm:ss(時:分:秒)

👉 人がいなくなってからこの時間経過後に照明がオフになります。

5. Light on time change via object

  • yes:KNXオブジェクトを介してON時間を外部から変更できる

  • no:ETSで設定した値固定

👉 BMSやユーザーインターフェースから点灯時間を柔軟に変更したい場合は “yes” 推奨。

6. Safety time

  • 照明制御の安定動作のために最短でもONを維持する時間(ここでは「1.250秒」)。

  • 単位は 秒+ミリ秒(ss.fff)

👉 誤検出などによる一瞬の消灯を防ぐための時間バッファです。

✅ よくある使い方の設定例

項目名 推奨設定 用途・目的
Operation type master mode 単体で動作させる場合
Movement detection internal and external 外部ボタンなどとの連携も視野に
Brightness independent no 照度で制御ON/OFFしたいとき
Light on time 00:01:30 90秒など
Time change via object yes 外部から柔軟に変更可
Safety time 01.00002.000 不安定な環境では長めに設定

Output

Output(出力)設定項目の説明

1. Output object send at

  • 意味:どのタイミングのイベントで出力オブジェクトを送信するか。

  • 例:switching on/off(ON時とOFF時にそれぞれ送信)

  • 他にもトリガーモードやカウンター送信などが選べることもあります。

👉 通常はこのまま switching on/off でOKです。

2. Output is of type

  • 出力データ型の選択:

    • 1-bit:ON/OFF(0/1)など単純なスイッチ制御(一般的)

    • 1-byte:拡張的な数値(例えば照度値やステータスコード)を送る場合

👉 照明やシンプルな制御対象への出力は基本 1-bit で問題ありません。

3. Begin of Motion

Value for switch on

  • 動作(人の検出)が始まった時に送信される値。

  • 選択肢:

    • OFF '0':0を送る(非標準的)

    • ON '1':1を送る(一般的)

👉 照明ON制御などを意図する場合は ON '1' を選択します。

Sending value for switch-on cyclic

  • 定期的に「動作検知中」を示す信号を送り続けるか?

  • yes:指定周期で ON を送信(ウォッチドッグ用途など)

  • no:最初の1回だけ送信

👉 特別な監視が不要なら no のままでOKです。

4. End of Motion

Value for switch off

  • 動作がなくなった(一定時間検出がない)ときに送信する値。

  • 選択肢:

    • OFF '0':0を送る(照明制御などで一般的)

    • ON '1':1を送る(逆論理の場合に使用)

👉 通常は OFF '0' を選びます。

Sending value for switch-off cyclic

  • 動作終了後、周期的にOFF信号を出すかどうか。

  • yes:指定周期で OFF を送信(ロジック冗長性など)

  • no:1回だけ送信

👉 多くの場合は no で十分です。

✅ まとめ:一般的な照明制御設定例

項目名 推奨設定 解説
Output object send at switching on/off 動作開始/終了で出力
Type 1-bit ON/OFF制御用
Switch on value ON '1' 検出時に1送信
Switch on cyclic no 単発で十分
Switch off value OFF '0' 非検出時に0送信
Switch off cyclic no 単発で十分

Lock

Use sensor lock の説明

✔ 項目:Use sensor lock

  • no:ロック機能を使用しない(デフォルト)

  • yes:センサー動作を一時的に無効化(ロック)可能にする

🔍 この機能の目的と用途

「センサーロック」は、KNXバス上のオブジェクトを介してセンサーの動作を一時的に停止(無効化)できる仕組みです。

主な用途:

  • 清掃中やイベントなどで、人の動きを検知しても照明などを誤動作させたくない場面。

  • 外部制御(例:タイマーやスケジュール)でセンサー動作を一時的に制限したい場合。

✅ 実際に「yes」にするとどうなる?

  • ETS上に **「センサーロック用のグループオブジェクト」**が有効になります。

  • そのグループアドレスに 1(ON) を送ると、**センサーは動作を停止(無視)**します。

  • 0(OFF) を送ると、センサーの動作が再び有効化されます。

🔧 利用例

状況 設定例
通常運用(自動照明など) Use sensor lock = no
清掃モードや会議中などでセンサー無効にしたい Use sensor lock = yes+制御ロジックやスイッチでON/OFF

Presence Channels > Presence 1

1. inactive

  • 意味:このPresenceチャンネルは無効化され、動作しません。

  • 使用例:このチャンネルを使わない、または他のチャンネルで処理する場合に選びます。

2. constant light switch

  • 意味:「定常照度スイッチ」モードです。

  • 動作概要:

    • 人感検出照度条件に応じて、ON/OFFの信号をKNXバスへ送信。

    • 典型的には、「暗くて人がいるときに照明をON、明るいか人がいなければOFF」といった単純な制御に使います。

  • 出力は基本的に 1-bit スイッチング信号 です。

  • 照明アクチュエータ(ON/OFF対応)との連携に最適。

3. constant light controller

  • 意味:「定照度コントローラー」モードです。

  • 動作概要:

    • センサーが**現在の明るさ(lux)**を測定し、ターゲット照度値に合わせて調光(dimming)出力を調整します。

    • 人の在室状態と連動して、照明を自動的に一定の明るさに保つ制御を行います。

  • 出力は通常 1-byte(調光制御) になります。

  • DALIゲートウェイや調光対応アクチュエータと組み合わせて使用。

✅ 選び方のポイント

用途 推奨設定
シンプルに「人がいたら点灯/いなければ消灯」したい constant light switch
「常に500luxを保つ」など定照度制御を行いたい constant light controller
このチャンネルを使わない inactive

Inputs > Input 1

✅ 上部:Input name

  • 任意の名前を入力(例:「壁スイッチ1」など)

  • ETS内で識別しやすくするためのラベルで、動作には影響しません。

✅ 下部:Operation mode of the channel

これはこの入力がどんな役割で使われるかを選ぶメニューで、以下の選択肢があります:

設定項目 内容
no function 入力を無効化(デフォルト)
switch sensor 押しボタンスイッチなどの単純なON/OFF制御
switch / dimming sensor 短押しでON/OFF、長押しで調光などの操作(例:照明調光スイッチ)
shutter sensor ブラインド/シャッター制御用のスイッチ(上昇・下降)
value / forced operation 定数出力や強制操作(例:在室状態の強制ONなど)
control scene KNXの「シーン呼び出し」機能(例:照明シーン1,2,3)をトリガー
RGB colour control カラーチャンネル制御(例:RGB照明)
mode selection 複数のモードを切り替える用途(例:日中/夜間)
command sequence 複数コマンドを順に実行(シーンや状態変化など)
counter パルス数カウント(例:人の出入り数など)
RGBW control RGB+白色チャンネルの同時制御


🎯 使用用途別のおすすめ

目的 設定
単純な壁スイッチ入力 switch sensor
調光も対応したタッチスイッチ switch / dimming sensor
シーンの切り替え(照明モードなど) control scene
外部在室制御との連携 value / forced operation
ブラインド制御用のボタン shutter sensor

Temprature

1. Temperature source(温度ソースの選択)

センサーがどこから温度を取得するかを設定します。選択肢は以下の通り:

選択肢 説明
internal probe 内蔵温度センサー(標準)を使用
external probe 外付け温度プローブ(別売や接続式)を使用
mix of internal and external probe 内蔵+外部プローブの平均値を使用
KNX probe KNXネットワーク上の別デバイスから温度値を取得(例:リモート温度)
mix of internal and KNX probe 内蔵とKNXプローブの平均
mix of external and KNX probe 外部プローブとKNXプローブの平均

👉 通常は「internal probe」で十分ですが、より正確な位置での温度測定やリモートプローブを使用したい場合に他の選択肢を利用します。

2. Enable “Alarm” object

  • yes:指定温度を超えた/下回ったときに**アラーム信号(1-bit)**をKNXに送信

  • no:アラーム機能を使用しない(デフォルト)

👉 高温・低温アラートを使いたい場合に便利です(例:空調異常通知など)

3. Enable “Actual temperature” object

  • yes:**実際の温度値(2-byte float、°C)**をKNXオブジェクトとして送信

  • no:出力しない

👉 KNXタッチパネルやBMSで温度を表示したい場合には yes にします。

4. Internal sensor calibration

  • 内蔵温度センサーの補正値(単位:0.1°C)

  • 例:設置場所の影響で+0.5°C高く出てしまうなら -5 を設定

  • 範囲は通常 ±50(= ±5°C)程度まで設定可能

👉 実測との誤差補正に使います。

✅ 使用例ごとのおすすめ設定

用途 Temperature source Alarm Actual Temp Calibration
標準的な室温監視 internal probe no yes 必要に応じて調整
外部プローブ併用 mix of internal and external yes yes 温度差のある場所で活用
KNXサーモスタット連携用 KNX probe no yes デバイスを分散設置する場合

Logic

🔘 Use logic function

  • yes にすると、Logic 1 チャンネルが有効になります。

  • 有効化すると、以下のような**条件付き制御ロジック(AND / OR / NOT 等)**をETS内でこのデバイス単体で構築可能になります。

🔧 Logic 機能の主な用途

  • 複数の条件を組み合わせて照明や出力を制御する

  • 時間帯、在室状況、照度などを組み合わせた高度な自律制御

  • 他のKNXデバイスとの連携による分散ロジック処理

🧩 例:Logic 1でできること(有効化後)

たとえば以下のような条件式を作成できます:

graphqlコピーする編集する(人感センサーがON) AND (照度が300lx以下) → 出力1にON信号

または

graphqlコピーする編集する(入力1 = ON) OR (外部スイッチ = ON) → モード切り替え

✅ 使い方の流れ

  1. Logic 1 の Use logic function を「yes」に設定

  2. 新たに表示される「入力A」「入力B」「演算タイプ」「出力条件」などの項目に値を入力

  3. 必要に応じて Logic 2~4 も併用可能(最大4ロジックまで)

🎯 補足アドバイス

Logic機能は、別途ロジックモジュールを用意せずに、1台のセンサー内で条件付き制御を完結させられるため、小規模なKNX構成では特に有用です。

診断ツールでの動作確認

適当なデータポイントを作ってみて「Sensor – Presence output」という場所にリンクさせてみました。この状態でダウンロードから書き込みを実行してみます。

診断ツールで動作を確認してみました。現状の設定だと、モーションセンサーに反応があると中身のLEDが青く点灯して、そのタイミングで反応があったことがリンクさせた部分にログとして出力されました。

まとめ

手元には別な種類のセンサーがあるのですが、まずはITR415についてまとめてみました。実際の器具と連動させたりを考えると、別の器具との信号線を接続する必要があるということですね。