LoRaWAN 総合ガイド
配線せずに、離れた場所の状態を数値にする無線
LoRaWAN(ローラワン)は、電池1本で数年動くセンサーを、数kmはなれた場所から1台のゲートウェイで拾える無線規格です。電源工事も通信配線も要らないため、「測りたいが配線できない」場所に強みがあります。
スマートライトは KNX / DALI による照明・設備制御を10年以上手がけてきた技術商社です。LoRaWANについても自社で検証し、記事にし、実案件に納めてきました。このページは、その蓄積への入口です。
取扱製品 59型番
技適一覧を公開中
1. LoRaWANとは — 3つの用語を分けて理解する
まずここを混同すると資料が読めなくなります。
| LoRa(ローラ) | Semtech社の変調方式。電波の飛ばし方そのもの。チャープスペクトラム拡散を使い、微弱な電波でも遠くへ届く |
|---|---|
| LoRaWAN(ローラワン) | LoRaの上に載る通信規約。LoRa Allianceが策定。参加手順・暗号化・サーバーの役割を定めている |
| LPWA | 省電力・広域・低速な無線の総称。LoRaWANのほかSigfox、NB-IoT、LTE-M、Wi-SUNなどが含まれる |
「LoRa対応」と書かれた製品が LoRaWAN 準拠とは限りません。用語の詳細は LoRaWAN用語辞典 にまとめています。
2. 向く用途・向かない用途
LoRaWANは万能ではありません。不向きな用途に無理に使うと必ず失敗します。先にここを見てください。
向いている
・電池駆動で数年動かしたい
・センサーが広範囲に点在している
・計測は数分〜数時間に1回でよい
・既存建物の改修で配線を引きたくない
・屋外、広い敷地、地下や倉庫の奥
向いていない
・照明スイッチのような即応性が要る制御
・画像や音声などの大容量データ
・秒単位の高頻度な双方向通信
→ これらは KNX / DALI / 有線 / Wi-Fi の領域です
照明制御にLoRaWANを使うなら Class C(常時受信)が前提です。省電力のClass Aだと「ボタンを押してから消灯まで、センサーの送信周期ぶん待つ」ことになり、照明の要件を満たしません。Class Cは外部電源が必要です。
また、LoRaWANから直接DALIやKNXを叩く標準規格は存在しません。上位システムで必ず橋渡しが必要です。
3. 日本で使うための条件
ここが海外製機器を導入するときの最大の落とし穴です。
| 周波数 | 920MHz帯(LoRaWANの地域プランでは AS923-1) |
|---|---|
| 関連規格 | ARIB STD-T108(920MHz帯の無線設備)。キャリアセンス(LBT)や送信時間の制限が定められています |
| 認証 | 技適(技術基準適合証明/工事設計認証)が必須。未取得機器を国内で使うと電波法違反です |
| 型番の見方 | 末尾の -868M は欧州向け、-915M がアジア・日本向け。バンド違いは設定を変えても合法にはなりません |
当社では、取扱製品の技適取得状況を総務省データベースで直接照会し、認証番号つきで公開しています。海外通販で買った機器が使えるか分からない、という段階のご相談も歓迎です。
→ LoRaWAN機器の技適一覧を見る
4. システムの組み立て方
LoRaWANは「センサーを買えば動く」ものではなく、4つの層を組み合わせて成立します。
| ① エンドデバイス | 温湿度・電流・漏水・在室などのセンサー。電池駆動。電波を撒くだけで、ゲートウェイに「接続」はしません |
|---|---|
| ② ゲートウェイ | 電波を受けてインターネットへ中継。中継のみで判断はしません。複数台で受けても問題なく、冗長化は設計で作れます |
| ③ ネットワークサーバー(LNS) | 重複除去・鍵管理・ADR制御を担当。ChirpStack、The Things Stack、Milesight IoT Cloud など。UG65のようにゲートウェイに内蔵されている機種もあります |
| ④ アプリケーション | MQTT / Webhook で受け取り、可視化・通知・制御へ。Node-RED、ThingsBoard、Grafana、既存BMSなど |
- 現地でサイトサーベイを行い、電波が届くか実測する(ここを省くと必ず後戻りします)
- ゲートウェイを設置し、インターネット回線(有線/LTE)に繋ぐ
- メーカーから受け取った DevEUI / AppKey のキーリストでデバイスをネットワークサーバーに登録する
- ペイロードデコーダを登録し、16進数を温度・湿度などの数値に変換する
- MQTT等で上位へ渡し、可視化・アラート・制御ロジックを組む
実際の手順は、下記「6. 実践記事」で1ステップずつ解説しています。
5. 製品から選ぶ
スマートライトは Milesight 正規販売代理店です。国内で使える(技適を確認できた)型番を中心にご案内しています。
LoRaWANゲートウェイ
センサーの電波を受けてインターネットへ中継する装置。まず1台から始められます。UG65はネットワークサーバーとNode-REDを内蔵しています。
温湿度・環境センサー
倉庫・サーバー室・冷蔵設備の温湿度を電池駆動で計測。熱中症対策(安衛則第612条の2)の記録用途でも引き合いが増えています。
照度・圧力・水位
屋外照度、配管圧力、水位。屋外設置向けのIP67モデルが中心です。
6. 実践記事 27本
すべて自社で実機を動かして書いた記録です。うまくいかなかったところも残してあります。
ゲートウェイを立ち上げる5
Milesight UG65 を例に、開梱から通信確立までの手順です。
- Milesight LoRaWAN Gateway UG65の使い方 001
- Milesight LoRaWAN Gateway UG65のFirmware Update
- Milesight LoRaWANゲートウェイにSoracomSIMをセットアップする方法
- Milesight LoRaWAN Gateway UG65でNode-REDとPythonを有効化する方法
- Milesight Building IoT Gateway EG71を触ってみた
センサーを登録して動かす4
デバイスの追加、送信周期の変更、ダウンリンクの送り方まで。
- MilesightLoRaWAN温湿度センサーEM300-THのデータをUG65で受信する
- UG65でLoRaWAN 温湿度センサー EM300-TH-915Mを接続する方法
- UG65から温湿度センサーEM300THのデータ送信頻度を変更する方法
- Milesight社 LoRaWAN電流センサー CT101のセットアップ
データを可視化する・上位へ渡す8
受信したデータをどこに流し、どう見せるか。
- UG65のNode-REDでLoRaWANセンサーデータを扱う方法
- LoRaWANセンサーの見える化サービス Milesight IoT Cloud
- Beaver IoTをHTTPS化&データ永続化して運用する方法(Docker構成)
- ThingsBoard Community EditionをSakura VPSにインストールする方法
- ThingsBoardのHello worldをやってみる
- Windows 11 ThingsBoardをDockerから起動する
- Node RED から ThingsBoard にHTTPでPOSTする方法
- Autodesk TandemへNode-REDからセンサーデータを送る方法
他社ゲートウェイ・デバイスの検証記録9
DRAGINO や LoRa Button など、Milesight 以外での検証です。
- DRAGINO社のLoRaWANゲートウェイとセンサーの検証 No.1
- DRAGINO社のLoRaWANゲートウェイとセンサーの検証 No.2
- DRAGINO社のLoRaWANゲートウェイとセンサーの検証 No.3
- DRAGINO社のゲートウェイとセンサーをローカルで使用する場合の検証
- DRAGINO社のゲートウェイMS48-LRからセンサーにDownlink commandを送る方法
- LoRaButtonの検証① LoRaWANサーバーへの接続とデータの確認
- LoRaButtonの検証② ローカルのNodeREDにデータをPOSTする設定方法
- LoRaButtonの検証③ Modbus経由でNodeREDにデータを送る方法
- LoRa Buttonの検証④ 押し方に応じたデータ変化の読み取り
運用でつまずいたところ1
実際に起きたトラブルとその原因です。
7. よくある質問
| 海外通販で買ったLoRaWANセンサーは日本で使えますか | 型番末尾のバンド指定と技適の有無次第です。EU868 / US915 版は日本では使えません。技適マークのない機器を国内で電波を出して使うと電波法違反になります。→ 技適一覧 |
|---|---|
| 通信距離はどのくらいですか | カタログ値は理想条件での数字です。実務上の目安は市街地1〜2km、見通しの良い環境で5〜10km程度。建物内では階数や躯体で大きく変わるため、必ず現地調査を行ってください |
| 電池は本当に数年もちますか | 送信周期次第です。1時間ごとの送信なら数年〜10年という数字は現実的ですが、1分ごとに送ればもちません。要件と電池寿命はトレードオフです |
| LoRaWANで照明を制御できますか | 技術的には可能ですがClass C(常時受信・外部電源)が前提で、応答性はKNX / DALIに劣ります。照明制御は有線、環境計測はLoRaWANという住み分けを推奨しています |
| ゲートウェイは何台必要ですか | 敷地の広さと障害物次第です。1台で数百デバイスを収容できますが、台数は電波の到達性で決まります。複数台で同じ電波を受けても問題ありません(サーバー側で重複除去されます) |
| 既存のKNX / DALI設備と連携できますか | できますが、LoRaWANから直接DALI / KNXを叩く標準は存在しません。上位システム(Node-RED、ComfortClick等)で橋渡しします。当社はこの構成の設計・構築を得意としています |
8. 関連ページ
最終更新:2026年8月13日
