LoRaWAN(ローラワン)とは|仕組み・使いどころ・日本で使うための技適まで

LoRaWAN 総合ガイド

配線せずに、離れた場所の状態を数値にする無線

LoRaWAN(ローラワン)は、電池1本で数年動くセンサーを、数kmはなれた場所から1台のゲートウェイで拾える無線規格です。電源工事も通信配線も要らないため、「測りたいが配線できない」場所に強みがあります。

スマートライトは KNX / DALI による照明・設備制御を10年以上手がけてきた技術商社です。LoRaWANについても自社で検証し、記事にし、実案件に納めてきました。このページは、その蓄積への入口です。

実践記事 27本
取扱製品 59型番
技適一覧を公開中

製品を見る構成を相談する

1. LoRaWANとは — 3つの用語を分けて理解する

まずここを混同すると資料が読めなくなります。

LoRa(ローラ) Semtech社の変調方式。電波の飛ばし方そのもの。チャープスペクトラム拡散を使い、微弱な電波でも遠くへ届く
LoRaWAN(ローラワン) LoRaの上に載る通信規約。LoRa Allianceが策定。参加手順・暗号化・サーバーの役割を定めている
LPWA 省電力・広域・低速な無線の総称。LoRaWANのほかSigfox、NB-IoT、LTE-M、Wi-SUNなどが含まれる

「LoRa対応」と書かれた製品が LoRaWAN 準拠とは限りません。用語の詳細は LoRaWAN用語辞典 にまとめています。

2. 向く用途・向かない用途

LoRaWANは万能ではありません。不向きな用途に無理に使うと必ず失敗します。先にここを見てください。

向いている

・電池駆動で数年動かしたい
・センサーが広範囲に点在している
・計測は数分〜数時間に1回でよい
・既存建物の改修で配線を引きたくない
・屋外、広い敷地、地下や倉庫の奥

向いていない

・照明スイッチのような即応性が要る制御
・画像や音声などの大容量データ
・秒単位の高頻度な双方向通信
→ これらは KNX / DALI / 有線 / Wi-Fi の領域です

照明制御にLoRaWANを使うなら Class C(常時受信)が前提です。省電力のClass Aだと「ボタンを押してから消灯まで、センサーの送信周期ぶん待つ」ことになり、照明の要件を満たしません。Class Cは外部電源が必要です。
また、LoRaWANから直接DALIやKNXを叩く標準規格は存在しません。上位システムで必ず橋渡しが必要です。

3. 日本で使うための条件

ここが海外製機器を導入するときの最大の落とし穴です。

周波数 920MHz帯(LoRaWANの地域プランでは AS923-1
関連規格 ARIB STD-T108(920MHz帯の無線設備)。キャリアセンス(LBT)や送信時間の制限が定められています
認証 技適(技術基準適合証明/工事設計認証)が必須。未取得機器を国内で使うと電波法違反です
型番の見方 末尾の -868M は欧州向け、-915M がアジア・日本向け。バンド違いは設定を変えても合法にはなりません

当社では、取扱製品の技適取得状況を総務省データベースで直接照会し、認証番号つきで公開しています。海外通販で買った機器が使えるか分からない、という段階のご相談も歓迎です。
LoRaWAN機器の技適一覧を見る

4. システムの組み立て方

LoRaWANは「センサーを買えば動く」ものではなく、4つの層を組み合わせて成立します。

① エンドデバイス 温湿度・電流・漏水・在室などのセンサー。電池駆動。電波を撒くだけで、ゲートウェイに「接続」はしません
② ゲートウェイ 電波を受けてインターネットへ中継。中継のみで判断はしません。複数台で受けても問題なく、冗長化は設計で作れます
③ ネットワークサーバー(LNS) 重複除去・鍵管理・ADR制御を担当。ChirpStack、The Things Stack、Milesight IoT Cloud など。UG65のようにゲートウェイに内蔵されている機種もあります
④ アプリケーション MQTT / Webhook で受け取り、可視化・通知・制御へ。Node-RED、ThingsBoard、Grafana、既存BMSなど
  1. 現地でサイトサーベイを行い、電波が届くか実測する(ここを省くと必ず後戻りします)
  2. ゲートウェイを設置し、インターネット回線(有線/LTE)に繋ぐ
  3. メーカーから受け取った DevEUI / AppKey のキーリストでデバイスをネットワークサーバーに登録する
  4. ペイロードデコーダを登録し、16進数を温度・湿度などの数値に変換する
  5. MQTT等で上位へ渡し、可視化・アラート・制御ロジックを組む

実際の手順は、下記「6. 実践記事」で1ステップずつ解説しています。

5. 製品から選ぶ

スマートライトは Milesight 正規販売代理店です。国内で使える(技適を確認できた)型番を中心にご案内しています。

LoRaWANゲートウェイ

センサーの電波を受けてインターネットへ中継する装置。まず1台から始められます。UG65はネットワークサーバーとNode-REDを内蔵しています。

温湿度・環境センサー

倉庫・サーバー室・冷蔵設備の温湿度を電池駆動で計測。熱中症対策(安衛則第612条の2)の記録用途でも引き合いが増えています。

空気質・室内環境センサー

CO2・TVOC・PM2.5・照度・人感などを1台で。会議室やオフィスの環境可視化、換気の妥当性検証に使います。

電流・電力センサー

分電盤のブレーカーにCTクランプを挟むだけ。配線工事なしで系統別の電力を見える化できます。

距離・レベル・傾斜センサー

タンクの残量、ゴミ箱の満杯検知、構造物の傾き。超音波・ToF・レーダーを用途で使い分けます。

漏水センサー

点検知(ZLD)、ロープ式(SLD)、マット式(MLD)。サーバー室や機械室の水漏れを早期に掴みます。

開閉・接点・スイッチ

扉・窓の開閉、既存機器の接点信号やパルスの取り込み。既設設備をそのまま無線化できます。

人感・在室センサー

在室検知や騒音レベル。照明・空調の制御トリガーにも使えます。

照度・圧力・水位

屋外照度、配管圧力、水位。屋外設置向けのIP67モデルが中心です。

国内向け技適を確認中

人数カウント・AI映像センサー

ToF・AI画像による人数カウントと在席検知。プライバシーに配慮した非映像出力が選べます。

Milesight 製品一覧(全59型番)

6. 実践記事 27本

すべて自社で実機を動かして書いた記録です。うまくいかなかったところも残してあります。

ゲートウェイを立ち上げる5

Milesight UG65 を例に、開梱から通信確立までの手順です。

センサーを登録して動かす4

デバイスの追加、送信周期の変更、ダウンリンクの送り方まで。

データを可視化する・上位へ渡す8

受信したデータをどこに流し、どう見せるか。

他社ゲートウェイ・デバイスの検証記録9

DRAGINO や LoRa Button など、Milesight 以外での検証です。

運用でつまずいたところ1

実際に起きたトラブルとその原因です。

7. よくある質問

海外通販で買ったLoRaWANセンサーは日本で使えますか 型番末尾のバンド指定と技適の有無次第です。EU868 / US915 版は日本では使えません。技適マークのない機器を国内で電波を出して使うと電波法違反になります。→ 技適一覧
通信距離はどのくらいですか カタログ値は理想条件での数字です。実務上の目安は市街地1〜2km、見通しの良い環境で5〜10km程度。建物内では階数や躯体で大きく変わるため、必ず現地調査を行ってください
電池は本当に数年もちますか 送信周期次第です。1時間ごとの送信なら数年〜10年という数字は現実的ですが、1分ごとに送ればもちません。要件と電池寿命はトレードオフです
LoRaWANで照明を制御できますか 技術的には可能ですがClass C(常時受信・外部電源)が前提で、応答性はKNX / DALIに劣ります。照明制御は有線、環境計測はLoRaWANという住み分けを推奨しています
ゲートウェイは何台必要ですか 敷地の広さと障害物次第です。1台で数百デバイスを収容できますが、台数は電波の到達性で決まります。複数台で同じ電波を受けても問題ありません(サーバー側で重複除去されます)
既存のKNX / DALI設備と連携できますか できますが、LoRaWANから直接DALI / KNXを叩く標準は存在しません。上位システム(Node-RED、ComfortClick等)で橋渡しします。当社はこの構成の設計・構築を得意としています

LoRaWAN用語辞典

クラスA/B/C、OTAA、ADR、AS923 など50語を読み方つきで解説。

技適一覧

Milesight 全型番の国内認証状況を認証番号つきで公開。

Milesight 正規代理店ページ

パッケージ構成、導入の進め方はこちら。

KNX / DALI

照明・設備制御の有線プロトコル。LoRaWANとの住み分けはこちら。

「測りたいが配線できない」場所はありませんか

倉庫の温度、分電盤の電流、離れた設備の稼働状況——
センサー選定から電波設計、既存設備との連携まで一貫してお引き受けします。

問い合わせる

最終更新:2026年8月13日